今回は、現在電動一輪車をリリースしているメーカーについて、概要・特徴を解説したいと思います。
製品だけではなく、メーカーの特徴を知ることで今の電動一輪車の市場や情勢が見えてきます。
自動車と自動車メーカーのように、それぞれの製品に対してそれぞれのメーカーの特色が現れています。
製品選びの参考にもなると思うので、現在購入を検討されている方も是非ご覧ください。
メーカー概要
まず最初に、電動一輪車を製造している主要メーカーは全てChinaにあります。ALL Made in Chinaです。
China製と聞いた時点で既に全く信用できない、
詐欺か怪しい商品を販売していると考えてしまうのが我々日本人ですが、
電動一輪車を製造しているメーカーは、全て比較的健全な株式会社です。
Chinaで開発・製造された電動一輪車は世界各地で使用され、一定の評価を得ています。
現在では、以下の4つのメーカーがメインとなっています。
- Segway-ninebot
- INMOTION
- BEGODE(GOT WAY)
- KING SONG
これらのメーカーは電動一輪車の他にも、電動キックボードやバランススクーター、
電動バイクや電動ゴーカートなどの
電動パーソナルモビリティの製造、販売を行っています。
電動一輪車が各メーカーのメインプロダクトとは限りませんが、この記事では、
各メーカーの電動一輪車の対応と展開に限定して解説していきたいと思います。
また今のところ主要メーカーではありませんが、注目すべきメーカーについても抑えていきたいと思います。
- IRON KOREA (Rock Wheel)
- Veteran
では、主要メーカー4社についてみていきましょう。
四大主要メーカー
Segway-ninebotは河北省・北京市に拠点を構え、
INMOTION、BEGODE、KING SONGの3社は広東省・深圳市に在籍しています。
深圳市は、「中国のシリコンバレー」とも呼ばれている発展目覚ましい経済特区で、電子製品の開発設計・製造を
短期間で行うことができる企業が多く在籍しているイノベーション都市です。
ドローンで有名なDJI、スマフォのHUAWEYなども、 深圳発祥の企業です。
Segway-Ninebot
殆どの方ならセグウェイがアメリカで生まれたことはご存じの筈です。
ですがなぜ、中国の企業がSegwayの名を冠しているのか疑問に思われるのではないでしょうか。
実は、今Segwayはスマフォ大手のシャオミ資本である、ninebot社にM&Aされてしまったのです。
もともと米国で生まれたセグウェイでしたが、米国での販売戦略に失敗した後、
Segway社は2009年にイギリスの資産家・企業家であるジミー・ヘデルセンに買収されます。
しかし、2010年にジミーはセグウェイの走行中に不慮の事故により亡くなってしまいます。
ninebot社は2014年にninebot oneシリーズ(16インチの旧型モデル)を販売しますが、
自己バランス機能の技術に関して特許侵害をしているとしてSegway社に訴えられてしまいます。
しかし2015年、ninebot社は係争中のSegway社を企業買収してしまい、
ここにninebot-segwayメーカーが誕生しました。
これによりninebot社は、segwayの技術と資本を丸々と吸収することに成功したのです。
そうしてパワーアップしたninebot-segway社は、2016年以降、
ninebot one S2、ninebot one Z シリーズを販売展開することになります。
この二種の製品以降、新たな電動一輪車の開発・販売展開はなく、現在は電動キックボードや電動ゴーカート、
ロボットなどの製品群に注力しているようです。
また、残念ながら今現在ではこの二種のサポートについてもほとんど対応していない状況である為、
サポートを希望する新規ユーザーが手を出しづらくなっているのが現状です。
INMOTION
堅実な電動一輪車を生産する印象のあるメーカーです。
INMOTIONは、中国で開催されたRoboCup 2007コンペティションでの優勝に触発され、
ロボット工学とビークルダイナミクスの経験を持つ技術チームによって設立されました。深センに本社を置くINMOTIONは、現在、ロボットとセンサー制御車両の研究開発に注力しており、
短距離輸送製品の進化を推進しています。INMOTIONは、継続的な技術革新とインテリジェントロボットの組み合わせにより、
引用:https://www.inmotionworld.com/company
最も軽量で、最も環境に優しく、最もポータブルで、最も便利な輸送手段の作成を目指しています。
電動一輪車としては、Vシリーズ(V3,V5,V8,V10,V11,V11,V12)として
グレードを分けて製品展開を行っています。
数字の違いは単純なグレードアップだけではなく、それぞれ特徴があります。
- V3:ダブルタイヤ仕様、初心者向け
- V5,V8,V10:ハイエンド・スタンダードモデル
- V11:独自のサスペンション機構を備えたハイクラスモデル
- V12:駆動電圧100Vのハイエンド・ハイクラスモデル(サスペンション機構なし)
一年ないし二年で新しい電動一輪車を開発し、リリースしていますので、
今後の電動一輪車への対応も期待できます。
BEGODE
もともとはGOTWAYというブランドで知られていましたが、ブランド名を統一してBEGODEとなりました。
因みにBEGODEは比高徳と書きます。
2014年に設立された東関ベゴデインテリジェントテクノロジー株式会社は、
強力な研究開発チームを擁する、電動ステッピングツールのメインボードハードウェア、
ソフトウェア、ブラシレスモーターの研究開発を専門とする会社です。引用:http://www.begode.com/gywm
Begodeは、ほとんどのモデルの電動ウォーキングツールを製造している会社です。
電動一輪車、電動スケートボード、スクーターなどの一連の製品があります。
小径ホイールから大径ホイールまで様々なバリエーションの電動一輪車を展開しており、
どの車両もパンチのあるピーキーなスペックをもっています。
車両によっては制限速度リミッターを搭載しないモデルも存在しています。
それゆえ、スピードや加速を追い求めるユーザー達に圧倒的な支持を得ています。
また、製品開発からリリースまでの期間が極端に短く、
一年程度でいくつもの電動一輪車を市場に提供しています。
しかし、早すぎる製品開発によって品質が犠牲になっている為か、
製品によっては品質が悪く、バッテリーによる火災事故なども割とよく起こっています。
KING SONG
高性能・高品質な電動一輪車を製造するメーカーです。
さらに、新たな技術を搭載した新規ホイールも一年程度で開発を行い、市場に提供しています。
電動一輪車に対してとても意欲的な姿勢がみられます。
2012年に設立されたKingSong Intell Co.、LTDは、
引用:https://japanese-euc-freaks.com/wp-admin/post.php?post=1280&action=edit
すべて自社のSMT(表面実装技術)工場で製造されたパワーバンク保護ボードの製造を専門としています。
King Songの設立前、同社はすでに10年間のSMTおよびOEM PCB開発を取得しており、
取得したスキルにより、電気などの高品質のグリーンパーソナル電気自動車の製造において競合他社をリードすることができました。
スクーター、電動自転車、電動一輪車。2017年以来、私たちはISO 9001マネジメントシステムの基準を満たし、あらゆる期待に応えることを保証しています。
King Song Intell Co.、LTDには11の部門があり、お客様を念頭に置いて製品を設計しています。
社内の11の部門は、車両の革新、製造、製造、テストを最初から最後まで支援します。
キングソングとそのパートナーとの緊密な関係を活用し、ライダーは夢を実現することができました。
私たちは世界中の企業のために他の個人用電気自動車ODMプロジェクトに取り組んでいます。
キングソングの基本原則は常に安全であり、SMT保護ボードと組み合わせることで、
さまざまな楽しいグリーンパーソナル電気自動車で人々がAからBに移動する方法を変えるために最高品質のコンポーネントを確保できます。
電動一輪車(EUC)から、増大する都市の混雑問題を解消するためのEスクーター、楽しい屋外車両、都市生活とシームレスに統合する機械まで。
サスペンションを搭載したKS-S18は問題こそ多かったホイールですが、
その設計思想とアイデアは称賛に価すると思います。
S18のような革新的な電動一輪車を開発する能力、またこれまでに販売されたの電動一輪車の品質などから、
電動一輪車市場において、KING SONGというメーカーは一番優秀な企業であることは明白であり、
ほとんどのユーザーもその評価を認めていました。
しかし、2020年冬、KING SONGは販売している製品に対してある対応を行うことを決定し、
公式にアナウンスを行いました。
そしてその内容によって評価は一変してしまいます。
そのアナウンスの内容とは、
今後、China国内向けに販売されたすべての製品は、海外で使用された場合に その製品本体に遠隔操作によってロックをかけ使用不能にする。
という驚くべきものでした。
国内向けの製品と国外向け製の製品は、規格や仕様に違いはなく、
管理しているシリアルナンバーのみが異なるだけです。
この決定と一連の対応によって、一部のユーザーからは反発や失望の声が上がり
結果として、KING SONGはメーカーとしての信頼を失墜させてしまったのでした。
電動一輪車は高級なオモチャの域を出ないにもかかわらず、
このような対応に踏み切ったことはメーカーの驕りであることは間違いないと思います。
主要外の注目メーカー
主要な四大メーカーの他にも、現在電動一輪車を製造、もしくは開発している
着目すべきメーカーについても少しだけ触れておきたいと思います。
IRON KOREA (Rock Wheel)
Rock Wheel GT16の外観は非常に秀逸なデザインをしています。
しかし現在では在庫が市場にわずかに残るのみです。
ですがRock Wheelは韓国の企業に買収され、IRON KOREAとして技術移転を行い、
業務を継承したとの情報があり、現在では、GT16の後継機であるIRON100や、
サスペンション機構付きIRON100 PRO SPを開発中のようです。
2020年4月に販売を予定していたようですが、昨今の世界情勢によりリリースは延期されているようです。
今後の動向に期待したいと思います。
Veteran
GotWayの開発スタッフがスピンアウトして立ち上げたブランドで、GotWay譲りのハイパフォーマンスと
GotWay製品にはなかった高い品質を兼ね備え、
上面にタッチパネルを電動一輪車で初めて搭載したシャーマンは市場に大きな影響を与え、
ヒット商品になりました。
電動一輪車の技術に関してBEGODEから特許侵害で訴えられ、現在係争中のようですが、二機目となる
オフロード向けホイール:エイブラムスが販売予定のようです。
今後の企業動向に期待したいと思います。
各メーカーの個人的な評価
ここからは、各メーカーの特徴と評価を纏めたいと思います。あくまで個人的な主観ですので
参考程度にしていただけると幸いです。
IRON KOREAについては製品を販売していませんので、評価対象外とします。
まず最初に、良い点・よくない点を纏めます。
次に総評として、6つの評価項目を5段階評価でレーダーチャートに示します。
総評の基準は以下の通りです。
- Spec:車体の性能
- Quality:車体の品質
- Variety:商品展開
- Inovation:メーカーの技術開発力の高さ
- Service:製品への保証対応
- for Japan:日本への供給容易度
良い点・良くない点・総評(メーカー別)
メーカー | 良い点 | 良くない点 | 総評 |
・本家segwayの技術が生かされている。 ・品質が高く、悪い商品に当たりにくい。 | ・EUCの今後の製品展開が望めない。 | ||
・EUCに対する製品開発の意欲が高い。 ・どの製品も、比較的品質が高い。 | ・特徴がない。 ・革新的技術を開発できない。 | ||
・スペックで高みを求めることに意欲的。 ・開発スピードが速い。 ・車両のバリエーションが豊富。 | ・致命的な事故が起こる可能性がある。 ・品質が低い。 ・革新的技術を開発できない。 | ||
・EUCの技術開発に積極的。 ・品質が比較的安定している ・バリエーションもある。 | ・部分的に製造品質に問題あり。 ・ユーザに対する不利なペナルティ。 | ||
Veteran | ・スペックが高い ・品質が高い | ・まだバリエーションがない。 ・市場製品と比較して割高である。 |
出典: https://www.inmotionworld.com/
出典: http://www.begode.com/
出典: https://www.kingsong.com/
総括
いかがでしたか?
製造メーカーについて一体どんなメーカーが電動一輪車を生産しているのか、
またそれぞれのメーカーの特徴が何となくつかみ取れたのではないでしょうか。
今回は製造メーカーに限って解説しましたが、
日本向けの供給がどうなっているのか、電動一輪車はどこで入手したらいいのか
についてはまたの機会にまとめたいと思います。
以上、Alai Smi-yo-Theeでした。
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