今回は、ninebot-segwayから販売されているone Zシリーズについて紹介します。
Zシリーズが登場してから既に2年以上が経過していますが、どのメーカーからも、
未だにZシリーズのコンセプトを越えたホイールは登場していないと断言できます。
特殊な仕様でありながら、その合理的なコンセプトとスタイルは、
電動一輪車、しいてはパーソナルモビリティのある種の完成形として、今なお頂点に君臨し続けています。
それでは、ninebot one Zシリーズの詳細を見ていきましょう。
概要
segway社がninebot社に吸収合併されたのち、
2018年に登場したninebot-segway社製の18インチホイールで、
同時期に発売されたone A1/S2とは一線を画したハイエンドモデルとなります。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Snapshot_376-1024x576.png)
独自の4インチ幅のチューブレスタイヤを採用することで、パワフルな大型ホイールに分類されながらも
16インチホイールと同等程度のコンパクトさを実現しています。
また、バッテリー容量・モーター出力の違いにより以下のバリエーションが存在していますが、
それらのシェル・カバーの形状・サイズは全く同じであり、ウェイトのみが異なる仕様となっています。
- Z6 :最高速度 35km/h 航続距離 約45km
- Z8 :最高速度 40km/h 航続距離 約70km
- Z10:最高速度 45km/h 航続距離 約90km
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スペック比較(oneS2/oneZ6)
ローエンドモデルのone S2と比較してみましょう。
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名称(メーカー) | one S2(ninebot) | one Z6(ninebot) |
平均価格帯 | ¥65,000 | \ 160,000 |
最高速度 | 24km/h | 35km/h |
航続距離 | 30km | 45km |
本体重量 | 11.4kg | 25kg |
耐荷重 | 120kg | 150kg |
充電時間 | 3h | 6h |
バッテリー容量 | 310Wh | 530Wh |
駆動電圧 | 63V | 58.8V |
モーター | 500W | 1200W |
タイヤサイズ | 14″x2.125″ | 18″x4.1″ |
車体ステイ機能 | 不可 (オプション) | 不可(標準オプション可) |
トロリーハンドル | 不可 | 可(標準品) |
バッテリーインジケータ | 側面装飾LED | 上部液晶 |
ヘッド/テールライト | 非搭載 | 標準搭載 |
ウェイトバランス | サイドウェイトダブル | サイドウェイトシングル |
ペダル高さ平均/角度 | 120㎜/8.5° | 145㎜/11.0° |
USB出力ポート | 非搭載 | 非搭載 |
Bluetoothスピーカー | 非搭載 | 搭載 |
one S2がカジュアル志向であるのに対して、Zシリーズは走ることに特化した
まさにプロ仕様であることがわかります。
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one S2とone Z6の外観に共通点は見られず、
inmotion V5F~V10Fのようにサイズ感のみが大きくなるようなグレードアップではないことがわかります。
特徴
ペダル
ペダルの形状は旧型モデルであるninbot one Cの形状を踏襲しています。
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サンドペーパー地は付属品のグリップテープを張り付ける形になっています。
グリップテープを張り付けないと簡単に滑ってしまい、踏ん張りが効かないため
付属のグリップテープは必ず使用したほうがよいでしょう。
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ペダルの開閉にはマグネット等は使用されていませんが、
ヒンジタイプでありながら、高級感のある滑らかな開閉が可能です。
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シェル・カバー
カバーはノッチタイプではなく、側面からネジで留めているタイプになっています。
ネジを隠すような構造になっておらず、ネジ穴から直接ネジを取り外すことができるため、
分解メンテナンスを行いやすい構造になっています。
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シェルの素材はフェイクカーボンプラスチックで構成されていますが、
高級感と耐久性の両方を兼ね備えており、洗練されたデザインになっています。
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側面には空気を入れるためのポイントがデザインされており、
この位置にタイヤバルブを合わせることで、バルブエクステンダーを接続することが可能です。
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ハンドル
持ち上げるためのハンドルがシェルと一体化しています。
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他のメーカーではフリースピン防止スイッチはメカニカル機構がほとんどですが、
one Zシリーズはウェイトセンサーが内蔵されており、持ち上げてもフリースピンしないようになっています。
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タイヤ
one Zの構造で最も特筆すべきはこのタイヤです。
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自動二輪などにも使用可能な汎用タイヤ・インナーチューブを採用せず、
ninebot-segway社が当該車輛用に開発した、幅4.1インチのチューブレスタイヤを使用しています。
他の車輛とタイヤ幅・幅比率について比較してみましょう。
車輛 | タイヤ幅 | タイヤ直径 | 幅比率(%) |
ninebot one S2 | 2.125″ | 14″ | 15.2% |
INMOTION V10F | 2.5″ | 16″ | 15.6% |
KINGSONG KS-S18 | 3″ | 18″ | 16.7% |
ninebot one Zx | 4.1″ | 18″ | 22.7% |
現存している電動一輪車では幅の比率を鑑みても、大口径ホイールのなかで
このようなタイヤ幅を採用している車輛は他に存在していません。
このタイヤの幅の広さによって、バッテリーの位置はモーターの回転中心と
ほぼ同じ位置に並列しながらも、タイヤの内径部への格納を実現しています。
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そのため車体の車高、車体幅がバッテリーのサイズによって膨張することなく、
スリムでコンパクトな車体を実現しています。
使用されているタイヤの使用を下記に示します。
- CST(ninebot) 18×4.1/c-1358-1
- 4PR TUBELESS
- MAX.LOAD 190Kg (420lbs) AT 220kPa (32psi) COLD
ヘッドライト・テールライト
ヘッドライトは横に並列した二門のライトに外周を覆うスクェアライトを備えています。
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また後方には、赤色テールライトを備えています。
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バッテリーインジケータ
バッテリーインジケータは電源スイッチの近傍に液晶によって残量が表示されるタイプとなっています。
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充電コネクタ
充電コネクタには、専用の3ピンコネクタが採用されています。
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Bluetoothスピーカー
Buluetoothで接続が可能なスピーカーを搭載しています。
スピーカーを通じて音楽を流すことなどが可能です。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Snapshot_392-1024x576.png)
装飾LED
シェルの内部に装飾LEDを搭載しています。
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後述する専用アプリのライト設定によって発光の仕方を自由に設定することができます。
専用アプリ
最新のアプリと本体をbluetoothによって接続することが可能です。
アプリでは、専用SNSと連動している他、本体の設定を変更することができます。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Screenshot_20211208-014152-501x1024.png)
サークルメーター表示
走行速度やバッテリー残量をリアルタイムで表示するサークル状のメーターです。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2022/05/Screenshot_20220507-074434-1-644x1024.png)
現在bluetoothで接続している車輛の画像をタップすることで表示されます。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2022/05/Screenshot_20220507-074422-497x1024.jpg)
ライト設定
左上のメニューボタンで本体設定に進むことができます。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Screenshot_20211208-014647-500x1024.png)
設定可能な主要項目を確認していきましょう。
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ブレーキライトはON、OFFの設定が可能で、テールライトの点灯を設定することができます。
ライトパターンは、LED装飾の発色パターンを変えることができます。
ナインボット本体設定
下記の項目の設定が可能です。
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設定項目を下記に纏めます。
設定項目 | 選択 | 効果 |
Bluetoothパスワード | 設定 | Bluetoothのパスワードを自らで設定することができます。 |
ファームウェアアップデート | 確認 | 現在使用中のファームウェアを確認します。 |
姿勢センサー補正 | 校正 | 乗車面が前後に傾いている場合にはこの補正によって修正できます。 |
乗車フィーリング | 0~4 | 数値が低いほど操作の柔軟性が高くなります。 通常設定:0 |
ブレーキ補助機能 | ON/OFF | ブレーキ動作をするとステップが後方に3°傾きます。 通常設定:OFF |
持ち上げると停止します。 | ON/OFF | 持ち上げた時にフリースピンしないように設定します。 通常設定:ON |
アラーム設定 | ON/OFF | 警告音の設定と警告する速度を3段階まで設定することができます。 |
音声設定 | 調整 | 使用する効果音の設定と、音量を調整することができます。 |
BBデータを読み取りします。 | 読取 | ブラックボックスデータの読み取りを行います。 |
最高速度
最高速度の設定は、よく使う機能の3つの速度モードから選択する形になります。
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one Z6では、以下の速度設定となります。
- セーフモード:7km/h
- ビギナーモード:12km/h
- スポーツモード:35km/h
ロック・アンロック
車輛のロック・アンロックは、メイン画面の南京錠マークをスワイプすることで設定が可能です。
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付属品
製品に同梱されている付属品を確認していきましょう。
- 取扱説明書一式
- 充電器
- バルブエクステンダー
- トロリーハンドル
- マッドガード
- グリップテープ(ペダル貼付用)
- 専用六角レンチ
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トロリーハンドル・マッドガード、そしてグリップテープは自らで装備する必要があります。
トロリーハンドル
トロリーハンドルは引き出し式・外付けタイプの専用品が標準で付属しています。
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本体に取り付けられているネジを使用して固定します。
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また、先端が車体ステイ機構を兼ねており、トロリーハンドルを装備することで
安定したステイが可能になります。
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このトロリーハンドルは、外付けでありながら車体のコンパクトさ、デザインを損なうことなく
実用的にとても重要な役割を果たしている素晴らしい設計といえます。
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マッドガード
トロリーハンドルと同様に、製品のネジによって車体にねじ止めをして固定します。
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素材はシリコンなどの軟質系の素材ではなく、粘りのある軽量の樹脂製となっています。
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ライド・インプレッション
リーン・カーブ
one Zシリーズで乗った瞬間に気が付くことは、
走行時の車体の直進性が他の電動一輪車よりも極端に大きいという点です。
これは、車体の重心位置と幅の広いタイヤが主な要因となっています。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Snapshot_404-1024x576.png)
これによって、タイヤをグリップさせて車体をリーンさせるという
通常の電動一輪車の乗り方では上手く乗りこなすことができません。
幅の広いタイヤは、タイヤというよりも球に近いものであると想定して、
タイヤを進行方向に転がせるようにして旋回を行う必要があります。
このような理由から、one Zシリーズは他の電動一輪車と大きく乗り味が異なる為、
乗り手を選ぶ傾向にあります。
ペダル
旧型のninbot one とよく似た形状のペダルとなっており、中心にいくつかのラバーポイントがあります。
グリップテープは粗目のサンドペーパー地となっている為、
テープを張っている場合と張っていない場合での滑り止め効果の差は歴然です。
特に理由がなければ、製品に付属しているグリップテープを張り付けて使用したほうが良いでしょう。
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ペダルの角度についても、急こう配過ぎず、平坦すぎもしないため、
ペダルへの足の保持についても問題はありません。
one S2では急旋回を行うとペダルの底が削れてしまうほどペダルの高さが低かったのですが、
Z6では急旋回を行ってもペダルの底を削ることはなく、十分なクリアランスが保たれていると感じます。
モーター回転快適性
モーターの回転性は特徴的で、走行中には乾いた金属のような感覚を覚えます。
回転感覚は非常にスムースであり、この感触と音は全く問題ないものと認識しています。
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さらにこの回転感覚に快感を感じるほど心地の良い響きです。
ウェイトバランス
バッテリーの位置がモーター回転中心と同じサイドウェイト型ですが、
加えてタイヤの内径に入り込んでいる為、どの電動一輪車よりも中心に重心が集まっています。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Snapshot_405-1024x576.png)
その為、アンクルグリップでの操作がとても行いやすく、さらにブレーキングにおけるウォブリングの
発生も起こりづらいようになっており、素晴らしいウェイトバランスだと思います。
スピード
Z6の場合、この筐体で36km/hまでしか最高速度を達成できないというのは少し不満を覚えます。
また加速についても、車体の重量分をカバーしきれていないような、パワー不足感は否めません。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Snapshot_409-1024x576.png)
重量としては25㎏と、電動一輪車の中でも重い車輛に分類されるので、inmotion V8Fや、V10Fなどの
20㎏前後の重量である16インチホイールと比較してしまうと少し見劣りしてしまいます。
このシェルと重量で満足に加速、巡行するためには、
やはりZ10のモーター出力とバッテリー容量が必要になるのだと思います。
航続距離
Z6の使用では45㎞と謳われていますが、実行航続距離はその7~8割程度になります。(約35㎞)
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Snapshot_410-1024x576.png)
ほとんどの電動一輪車の実行航続距離は仕様に対して5~6割程度になる場合が多いので
比較的優秀な結果であるといえるでしょう。
その他
BMSの関係上仕方のないことだと思われますが、
バッテリーの放電が他の電動一輪車に比べ早いという点がネックになります。
バッテリーの残量が約1か月~1か月半で、フル充電の状態からゼロになってしまいます。
ですので、1か月以内を目安に充電を行ったほうがよいでしょう。
総括
いかがだったでしょうか。one Zシリーズは、本家セグウェイの技術を結集した、
電動一輪車というプロダクトにおいて、一つの完成形といえるモデルです。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/12/Snapshot_411-1024x576.png)
総評として、良い点、良くない点について個人的な主観を含めてまとめておきたいと思います。
良い点
- 品質が高い。
- 大口径ホイールでありながら、車体はコンパクトに纏められている。
- 合理的な構造・設計になっている。
よくない点
- 独自のタイヤを使用している為、タイヤの代替が入手しづらい。
- Z6では、車体の重量に対してパワーが不足しており、加速、最高速の性能に不満が残る。
- バッテリーの放電が他の車輛に比べて早い。
2021年現在、それぞれのメーカーから電動一輪車が販売され続けていますが、
one Zシリーズを超える合理的な設計と品質を満たした車輛は存在していないと思います。
どのメーカーも、one Zシリーズのクオリティを見習って電動一輪車を開発してほしいものです。
以上、Alai Smi-yo-Theeでした。
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