今回は、電動一輪車の中で最もコンパクトな車両となるBEGODE Mten3のレビューを行っていきます。
最小10インチホイールと高出力モーターから得られる独特な乗り心地は、
奇妙でありながら同時にとても楽しく、乗った者をワクワクとさせてくれるホイールです。
今回はそんなMten3の詳細を見ていくことにしましょう。
概要
BEGODEから販売されている、電動一輪車のなかでは最も小さい10インチホイールです。
最小ホイールながら、高出力モーター・高バッテリー容量によって
跳び抜けた性能を持った車両となっており、その性質から「ポケット・ロケット」とも呼ばれています。
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BEGODEブランドが変わる前に発売された為、「GOTWAY Mten3」の呼び名の方が浸透しています。
【AliExpress】GOTWAY Mten3【\106,657】
バッテリー容量の違いによってバリエーションが存在します(460Wh/512Wh)。
スペック比較
これまでの最小径ホイールで最高スペックをもつ、
KINGSONG KS-14Dとのスペック比較を行ってみましょう。
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名称(メーカー) | Mten3(BEGODE) | KS-14D (kingsong) |
平均価格帯 | \110,000 | \79,000 |
最高速度 | 40km/h | 30km/h |
航続距離 | 50km | 35km |
本体重量 | 10.6kg | 14.5kg |
耐荷重 | 100kg | 120kg |
充電時間 | 4h | 3.5h |
バッテリー容量 | 512Wh | 420Wh |
駆動電圧 | 84V | 67V |
モーター | 800W | 800W |
タイヤサイズ | 10″x3″ | 14″x2.125″ |
車体ステイ機能 | ステイ可 | 不可(オプションなし) |
トロリーハンドル | 不可(社外品) | 標準搭載・引出式 |
バッテリーインジケータ | 前面装飾LED | 側面装飾LED |
ヘッド/テールライト | 標準搭載/後面装飾LED | 標準搭載 |
USB出力ポート | TYPE-A x1 | TYPE-A x1 |
ウェイトバランス | トップヘビー | サイドウェイトダブル |
ペダル高さ平均/角度 | 120㎜/10.0° | 140㎜/12.5° |
14インチホイールでも破格の性能であったKS-14Dをさらに上回っていることがわかります。
スペックとしては現行の16インチホイールとほとんど変わりません。
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ウィークポイントとして挙げられるのは、耐荷重が他のホイールと比べ低い点でしょうか。
タイヤの耐久性やホイールの剛性などにより、このサイズでは仕方がないものと思われます。
また、トロリーハンドルの純正オプションはなく、
必要な場合には下記のような社外品を取り付けることができます。
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特徴
ペダル
ペダル表面は粗目のサンドペーパ地を基本に、いくつかの赤いラバーポイントが確認できます。
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ペダルの開閉については、閉じている時にはマグネットによって下部クッションに固定されており、
開くときには軽く、スムーズに行うことができます。
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シェル・カバー
白いメインのシェルはフェイク・カーボンプラスチックとなっており、
クリアスモーク部は強化プラスチックで構成されています。
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車体ステイも、少し前後にゴロゴロしてしまいますが、左右からの力には強い安定したステイが可能です。
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ハンドル
ハンドルのすぐ側にはスピンキルボタンがあり、これを押しながら持ち上げることで、
フリースピンしないようになります。
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ハンドル自体はシェルで構成された持ち手部分のみで、角が手に負担をかける為、
あまり長い時間は持っていたくないと感じます。
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小型の為、持ち運びが簡単に見えますが、実際には約11kgという重量は片手で持つには重く、
更にハンドルの握り辛さもあって、この状態で長時間の運搬はしたくありません。
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そうなるとトロリーハンドルが必要になりますが、折角の小型フォルムがありながら、
トロリーハンドルで運搬するようになった時点で
この電動一輪車のコンセプト自体を崩してしまうように感じます。
ですので、私の場合はトロリーハンドルを装着しない遊び方をしています。
タイヤ
タイヤ径は10インチと最小ですが、タイヤの幅は3インチと直径に対してとても太いです。
特筆すべきは、このタイヤはチューブレスタイヤであるという点です。
そのため、内部にインナーチューブを使用していませんが、空気の入れ方はチューブタイヤと同様です。
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標準装備タイヤのスペックを示します。
- SEYOUN NJK 10×3-6.5(70/65-6.5)
- SY-E008-15
- 2 PRY RATING TUBELESS
- MAX. LOAD 70kg(155lbs) at 210kPa(30psi) cold
タイヤの耐荷重が70kgまでなのですが、車体の荷重仕様を100kgとしても大丈夫なのでしょうか。
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タイヤ直径とタイヤ幅の比率(以下、幅比率)に関して、他の車輛と比較してみましょう。
車輛 | タイヤ幅 | タイヤ直径 | 幅比率(%) |
ninebot one S2 | 2.125″ | 14″ | 15.2% |
INMOTION V10F | 2.5″ | 16″ | 15.6% |
KINGSONG KS-S18 | 3″ | 18″ | 16.7% |
ninebot one Zx | 4″ | 18″ | 22.2% |
BEGODE Mten3 | 3″ | 10″ | 30% |
上記の幅比率は、ライディングに大きな影響を与えます。以下に幅比率とライディングへの影響を示します。
幅比率 | 低速 | 高速 | リーン・カーブ |
15~20% | ✕ | ◎ | 〇 |
20~30% | 〇 | △ | △ |
ヘッドライト・テールライト
ヘッドライトは電源ボタンで以下の点灯モードを切り替えることができます。
- 点灯
- 点滅
- 消灯
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![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/11/Snapshot_298-1024x576.png)
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/11/Snapshot_361-1024x576.png)
テールライトはブレーキングを感知すると後方の装飾LEDが赤色に光ります。
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バッテリーインジケータ
前方の装飾LEDがバッテリー残量を示します。
しかし、ほかの車両に比べてわかりにくいと感じます。
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充電コネクタ・USBポート
電源ボタンの下には、USB出力ポートが一門あります。
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USBポートの下には、4ピンの充電コネクタがあります。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/11/Snapshot_359-1024x576.png)
パッド
足首と内ももにパッドが当たるようになっています。
パッドも厚く、柔らかいため、車体を心地よくグリップできます。
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専用アプリ
BEGODEのメーカーHPから専用アプリをDLすることができます。
専用アプリと車体はBluetoothにより接続することが可能です。
専用アプリを使用することで車体の設定が可能なようですが、設定が拒否されたり、用途が不明だったりと
まだまだ未解決な項目が多いようです。
ですので今回は、使用可能な項目に着目していきたいと思います。
モニター
現在のスピードやバッテリー残量、温度などを確認できるメイン画面です。
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- Horn:ビープ音を鳴らす。
- Light:ライトの消灯・点滅・点灯を行う。
- Camera:スマフォのカメラを使用して、ディスプレイ状態で撮影を行う。
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セッティング
メイン画面の右上の設定ボタンを押します。
車輛の設定を行うことができます。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/11/Screenshot_20211105-182827-e1636107449873-670x1024.png)
設定できる項目の内容と、効果を以下に示します。
項目 | 効果 | 選択肢 |
Mode setting | ライディングモード | soft / medium / hard |
Alarm setting | ??? | turn off level 1 alarm turn off level 2 alarm turn on all alarm |
Tilt back speed | ティルトバックを 開始する速度 | turn off ~ 60km/h |
LED setting | ??? | LED 0 ~ LED 9 |
Volume setting | 音量(設定不可) | 0~9 |
Maximum allowed tilt angle | 最大許容偏角(設定不可) | Low / Medium / High |
Calibration Setting | 前後角度校正 | 車体を垂直にした状態で オートキャリブレーション。 |
mileage statistics | 走行距離確認 | Total mileage / Current mileage |
Unbinding equipment | ??? | Unbind? [sure / cancel] |
付属品
製品の付属品は以下になります。
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INPUT 100-240AC 50/60Hz 2.5A MAX
OUTPUT DC84V 1.5A
- 充電器
- バルブエクステンダー
- 取扱説明書
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/11/Snapshot_354-1024x576.png)
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/11/Snapshot_355-1024x576.png)
ライド・インプレッション
ペダル
ペダルは低く、内側傾斜角度も小さいため、乗り出しもしやすいと思います。
大きさはこれまでのホイールと比べると小ぶりで、靴の底のすべてをカバーしきれない大きさです。
ラバーポイントは全く気になりません。
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ペダルが低いにも関わらず、小径Rでの旋回時にペダルの下を擦ることがありません。
ペダルの下が地面に触れるときは、始動時などの低速走行時にちょっとしたことで
体制を立て直そうとした際に、車体を大きく傾けた時くらいです。
モーター回転快適性
回転はスムースで、どちらかといえばINMOTION系の回転感覚に近いと思います。
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ですが加速、減速の際には独特のモーターの唸り声が聞こえます。
スピード
加速・減速の性能は小型ホイールの中ではズバ抜けていて、とてもピーキーな加速が可能です。
スピードの減速も素早く行えるため、キビキビとした動作を楽しむことができます。
しかし最高速度については、自分が思っている以上に出すことができません。
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タイヤ径が10インチと小径であるため、他の径のホイールと比べると最高速度では不利になります。
その為、できるだけ高速巡行を試みた場合、10インチという小径による高回転と
タイヤ幅によるバランス維持の難しさによって、
少しでもバランスが崩れればリカバーできずに転倒してしまう可能性があります。
タイヤ
バンプや起伏を越える性能はそれほど高くありません。
チューブレスタイヤの乗り心地はチューブ式タイヤと特に変わりはありません。
ですが、タイヤの太さがライディングに大きな影響を与えていると感じます。
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小径ホイールゆえ、平均スピードは低速になる場合が多いのですが、
太いタイヤのおかげで、始動時や低速巡行時では安定して走行することができます。
しかし、中速以上速度では小径ゆえの高回転によりバランス制御が難しくなり、
安定感が得られにくいのが難点です。
ウェイトバランス
ウェイトバランスはトップヘビー型ですが、タイヤの太さがカバーしているためか、
モーターとバッテリーの重心位置のギャップを感じることはほとんどありません。
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ウォブリング
タイヤの空気圧が高過ぎる場合、車体のバランスが極端に不安定になり、
ウォブリングを起こしやすくなります。
タイヤの空気圧のほんのわずかな変化でも、ライドに大きく差が出ます。
そういった場合には、現状より少しだけエアーリリースしましょう。
また、ウォブリングは走行中の乗車姿勢によっても発生頻度が変わります。
膝が曲がり、つま先側に重心が乗っている場合にウォブリングが発生しやすいようです。
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走行中にウォブリングの気配を感じたら、一度膝を伸ばして、
かかと側に重心を乗せるようにして、減速してウォブリングが収まるのを待ちましょう。
また、ペダルに足を乗せる際に、つま先がペダルの先に出るくらい、
かかと側がペダルに乗るようにするとウォブリングが発生しにくくなります。
その他
キビキビとした動きができるMten3は、狭い場所や短距離などでの使用に
最適なホイールであると言えます。
また始動時や、低速でのバランスが他のホイールと比較して取りやすいため、
エリアの限られた公園などで、初めて乗る方への練習用などにはもってこいの車輛です。
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加えて、車輛のスペックは上級者も満足のいくスピードとレンジです。
中級~上級者には、乗りこなし、技の練習、クイックライドで十分楽しむことができると思います。
また、通常のホイールに比べると相当な負担が掛かる為か、足に疲労が蓄積しますが、
そのかわりに短時間のライドでも十分な満足感が得られます。
高速巡行では足への負担が大きいため、ロングライドとの相性はあまり良くはないと思います。
総括
いかがでしたでしょうか。ではまとめとして、良い点、良くない点を挙げたいと思います。
良い点
- コンパクトな電動一輪車の中で、さらにコンパクトさを極めている。
- 小径ホイールに太いタイヤを合わせることで、低速域の安定性を確保している。
- 高出力モーター・高容量バッテリーにより、ピーキーで機敏な操作性が楽しめる。
- 短距離・狭い場所・限られた空間を走るのに適している。
よくない点
- 耐荷重が若干低い。
- バンプや段差の走破性は高くない。
- 小径ホイールと太いタイヤのバランスにより、高速で走行することが難しい。
- 片手で容易に持ち歩けるほど軽量ではない。
- 整備分解までの手順が煩雑。
- 長距離・高速・ロングライドでは苦行になる可能性大。
初めて乗る方から上級者まで、人を選ばずに乗ることができる、万人向けのホイールです。
特に10インチホイールによる独特の乗り心地は、近距離・低速域で面白さを発揮します。
また、極小径ホイールからくるコンパクトさ、機敏さ、スピード上限は、
街中で使用できるパーソナルモビリティへの親和性と可能性を感じました。
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Mten3だけでなく他のメーカーからも、このような極小・ハイスペック電動一輪車が
開発されればいいのにと思ってしまいます。
【AliExpress】GOTWAY Mten3【\106,657】
余談として、10インチホイールを使用した自己バランシングボール:
JYROBALLをアイルランドのメーカーであるMoby Products.が開発中でしたが、
資金調達のあと、資金を泥棒して雲隠れしてしまったようなので、とても残念です。
![](https://japanese-euc-freaks.com/wp-content/uploads/2021/11/jyroball-1024x789.png)
サポーターたちは支援の見返りが得られず泣き寝入り状態。
個人的にはsegwayあたりが「segway-ball」のような形で開発してくれるとよいと思っているのですが…。
極小ホイールにバリエーション展開の未来はあるのでしょうか。
今後の各メーカーの動向を楽しみにしたいと思います。
以上、Alai Smi-yo-Theeでした。
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