電動キックボードなどのパーソナルモビリティは、将来的にさらに需要が増すことで
交通の常識を変えると言われて久しいですが、未だに実証実験や小規模のレンタルサービスに限られることが多く、
人々の生活の中に浸透する気配はありません。
そんな中で、電動一輪車に乗ったことがある人なら、そのガジェットの素晴らしさから、
その実用性と将来性をすぐに見出すことができるでしょう。
そうして条件さえそろえば、電動キックボードなどの他のパーソナルモビリティなどは
全て駆逐されて、電動一輪車はすぐに人々の生活の中に溶け込むことになると予見できます。
今回は、電動一輪車がなぜパーソナルモビリティの覇権となるのか、
その理由を、電動一輪車からわかる決定的な根拠を元に、10項目にまとめて解説したいと思います。
単純明快な構成
まず、タイヤが一輪しかありません。
一輪だけで駆動できるということは、今までの自動二輪などと異なり、ギアやチェーン、スプロケットといった
エンジンの動力をタイヤに伝える為の部品が一切必要なくなることになります。
これによって構成部品が大幅に削減され、メンテナンス性も格段に向上します。

この単純明快な構造によって、いままではトレードオフの関係にならざるをえなかった
常識的なメリット・デメリットの全てを覆し、パーソナルモビリティの頂点に君臨することになります。
他の追随を許さないコンパクトさ
一輪しかない構造によって、今までの車輛では実現できない絶対的なコンパクトさを獲得しています。
まず、二輪車の場合では、車輪を並列するか直列するかにより、前後か左右にスペースをとることになります。
スペースをとらないようにするには全体を小さくするしかありませんが、小さくするということは、
車輪自体も小さくしなければならないということでした。
車輪が小さくなると、段差や悪路など、走破性が悪化するというデメリットがありました。
つまり、車輪の大きさによる車体の大きさと走破性の良さはトレードオフの関係にありました。
しかし電動一輪車の場合には、一輪しかないことによって、
前後にも左右にも二輪車の1/3程度のスペースしか必要ありません。

さらにその一輪のみのサイズのコンパクトさから、タイヤ径を大きくしたとしても
二輪車よりずっと小さいという特徴があります。
すなわち、車体を小さくコンパクトにしても、タイヤの径は大きくすることができる為、
車体サイズとタイヤサイズというトレードオフ関係を完全にブレイクスルーしています。
また、自転車などの二輪車やキックボードなどは、
コンパクト化する為に折りたたむなどの作業が必要でしたが、
電動一輪車では折りたたむ必要はありません。
ハンドルや折り畳み機構などは、持ち運ぶ際にコンパクトにするとはいっても、
車体の所々にある突起が人が触れてしまい、運搬の際にはその突起と重量で痛い思いをする方も多いはずです。
ですが電動一輪車は、サークル型で突起もなく、非常に洗練された形状をしています。
これによって、運搬の際にもストレスなく持ち運びを行うことができるのです。
異常なまでに軽量
ありえない程のコンパクトさは、同時にありえない程の軽量さをもたらしました。
既に生産が終了した通常のセグウェイの重量は約50kgと、人が一人で運搬するには大変な重量でした。
しかし電動一輪車は、16インチから20インチなどの大径ホイールでさえ
重量は半分となる約20~25kgにまで軽量になります。
これは大径ホイールの例でしたが、10インチから14インチの小径ホイールでは7kg~10kgと、
運搬には容易な軽さとなっています。

(最小10インチホイール:GOTWAY Mten3レビュー)
もちろん小径ホイールであっても、スピードや航続距離などいった性能に関しては、
パーソナルモビリティとして十分なスペックを備えています。
構成部品が単純で少ないからこそ、この軽量さを実現しているのです。
極めて静かでクリーン
どんなに小型のガソリンエンジンを使用して、小型のモビリティを作ろうとも、
それはパーソナルモビリティとして人の生活の中に溶け込むことはできません。
ガソリンエンジン動力の車輛は、どうしても人と距離をとって走行せざるを得ませんでした。
その理由は、単純にスピードが出て危険だからだと思われがちですが、実際はそうではありません。
ガソリンエンジンでの走行は、人が厭がる音・煤・煙・匂い・振動を発生させるからです。

対して、電動モビリティはそれら人の厭がる要素をほぼ発生させることがありません。
その為ある程度のスピードで人の近くを走行したとしても、ガソリンエンジン車輛との印象は全く異なります。
大半の人たちが、ガソリンの厭な要素に気が付いておらず、
その不快感のもとは走行している車輛のスピードから由来しているものと勘違いし、
「スピードが出ている車輛が近くで走っていて危険である。」といった、
刷り込まれた印象を抱いてしまうのです。
電動一輪車は、人が厭がる音・煤・煙・匂い・振動を発しない、とても静かでクリーンな乗り物です。 ※
それゆえに、人とモビリティとの距離がぐっと縮まることで
人に近い領域、または人と混同した領域で走行したとしても
自然と人の生活の中に溶け込むことができるのです。
※ 電気は火力発電で作られるため環境に悪く、クリーンではないという意見がありますが、
そのような意見も指摘内容も個人的にはどうでもいいと思っています。
車体とひとつになる
ハンドルがついていない電動モビリティには、例えばセグウェイのハンドルを取り払い、
小型にした通称「ミニセグ」のような自己バランススクーター、
自己バランス式スケートボードを代表する、「ONE WHEEL」
またはスケートボードを電動化した電動スケートボードなどがあります。

引用:https://onewheel-japan.com/product/
これらもハンドルがないことで、ある程度小型化されているものではありますが、
電動一輪車とは決定的な違いがあります。
それは、乗る際に、体で車体をホールドするか否か、という点です。
自動二輪では、車体と人との連動性を高める為、ガソリンタンクを膝でホールドする
「ニーグリップ」という基本的な乗車姿勢があります。

先ほど挙げた電動一輪車以外の電動車輛は全て足を置いて走行するタイプで、
車体をホールドすることはありません。
その為少し車体に衝撃を受けただけでも、足が離れ、転倒してしまう恐れがあります。
しかし、電動一輪車は、うち足首から内腿で車体をホールドすることで車体の直進を安定させたり、
カーブを曲がったりしています。
タイヤのグリップ力をホールドしている足で受け止めて、
車体と自らの体のバランスをコントロールしているのです。
それゆえ少し衝撃を受けても、ホールドしている安定した下半身によって、
転倒などの危険性をぐっと減らすことができます。
(この姿勢を、自動二輪のニーグリップになぞらえて、アンクルグリップと呼称することにします。)
(セグウェイ・電動一輪車の機能・現象・症状についての用語・キーワード)
合理的な走行手法
自己バランススクーターの移動は非常によくできた走行方法です。
車体と人の体の慣性は別々になっている為、通常であれば慣性の異なる二つのどちらかが動こうとした際には、
動くものに対して取り残されてしまうか、動くものにしがみついて一緒に動こうとします。
地球は太陽系を高速で周りながら動いていますが、地球と人とが離れ合わないのは、
地球の重力によって人が引っ張られ、地球の慣性と共に動いている為に、
地球の移動に取り残されることなく生活ができています。
人と車輛となると、それがハンドルを握る、シートに座るといった
従来までの車輛の部品と役割になるわけです。
その為、そのような部品がついていない非バランス式・ハンズフリー電動モビリティでは、
人とモビリティの慣性を合わせることが難しく、加速、減速の際に体から離れたり、
逆に体を持っていかれたりすることがしばしばあり、その制御には体の力と多少の熟練度が必要でした。

(非自己バランス式・電動モビリティ:walkcarレビュー)
その点、自己バランス式のハンズフリー電動モビリティは、
自身の慣性が移動した際に初めて車両も移動する為、
加速、減速の慣性動作に対して、非力であったり、熟練度が低くても全く苦労することがありません。
その為、停止する際に前方に倒れたり、発進する際に尻餅をついて転ぶといった危険性が少ないのです。
ハンズフリー
セグウェイはシートに座らない立ち乗りスタイルによって、シート自体ありませんでしたが、
セグウェイから進化した電動一輪車は、シートだけでなくハンドルさえもなくしてしまいました。
その結果、下半身のみで車体をホールドし、上半身の重心移動によって移動することを特徴とした電動一輪車は、
両手が完全に自由な状態となりました。

実際に乗ればわかりますが、自撮り棒を持ったり、傘を差したりといった
片手で握ることは容易いだけでなく
何かを両手で持つこともできたり(子供を抱えることも可能)と、
両手は想像以上に自由に使うことができ、さらにその状態で難なく走行もこなすことができます。
手頃な価格帯
既に生産を終了した通常のセグウェイは、一台当たり約50万円~100万円という価格の為、
限られた人向けに、限られた場所でしか存在できませんでした。
さらに、驚きの価格に対して使用場所も極端に限られているといった理由から
大多数の庶民にとって保有する利点はほぼありませんでした。
しかし、電動一輪車となった今の相場の価格は約7万円~25万円、平均して約17万円と、
当時のセグウェイの1/5程度の価格で購入することができます。
加えて、その利便性と実用性の高さから、金額に見合う利点、性能まで到達するようになりました。
これから更に、需要の増加によって販売価格が下がり、性能も向上していくことで、
大多数の庶民にとって保有する利点の方が上回るようになれば、
一気に人々の生活の中に浸透していくことでしょう。
高性能
通常のセグウェイは、その高すぎる価格に対して走行速度は20㎞/h、航続距離は40㎞と、
実用性に欠けたスペックでした。
今の電動一輪車であれば、そのスペックの車輛は約5万円で販売されています。
さらに、その二倍の価格、約10万円であれば、 走行速度は35㎞/h、航続距離は80㎞と、
人々が生活で使用するには十分なスペックをもった車輛が存在しています。

(セグウェイの最終進化:ninebot one Z6レビュー)
低価格帯と高い性能を併せ持つ電動一輪車に進化したことで、
もともとセグウェイが持っていた特徴をようやく生かすことができるようになったのです。
今まで経験したことのない乗車体験
非力な人でも、少しの練習によって簡単に扱うことができます。
すなわち、子供からお年寄りまで、男女ともに誰でもつかえるようになります。
自己バランス方式による走行は文字通り、車体と体が一体となって走っているような感覚に陥ります。
その爽快感は、乗った者のみにしか体験することができません。


電動一輪車に乗ることは非常に楽しく、得も言えぬ爽快感を味わうことができるということです。
総括
いかがでしたでしょうか。電動一輪車が覇権をとる理由10項目を独自の解釈で解説しました。
未だ電動一輪車に乗ったことがない方は、乗ってみたくなりましたでしょうか。
日本でも、いつまでたっても人々に受け入れられることがない
電動キックボードなどにいつまでも固執せずに、
この最高でクールな乗り物である電動一輪車の素晴らしさに早く気がついてほしいものです。
以上、Alai Smi-yo-Theeでした。
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