KS-S18のレビューの記事や、サスペンション調整の記事で、
たびたびKS-S18が抱えている細かなトラブルに関して言及してきました。
(KINGSONG KS-S18 サスペンション調整について解説します。)
これらのトラブルとは、主に以下を示しています。
- サスペンション可動部の動作不良
- 可動部の干渉による部品の摩耗
どちらも物理的・機械的な干渉問題ですので、比較的簡単に自らで修正することができます。
また、製造したロットによっては不良のいくつかが改善されています。
ですので、最新のロットを入手できればほとんど気にする必要がない場合もありますが、
中古や人から譲り受けた場合など、ロットを確認できない場合には、
不良項目に当てはまるものがないかを確認をしておいた方がいいでしょう。
トラブル内容一覧
まずは、トラブルの内容を把握しておきましょう。
No. | 症状 | 解説 | 解決方法 |
① | モーターケーブル干渉 | モーターケーブルが垂直に折れていない為、 下部パッドの下のカバーに接触し、擦れる。 | 現行ロットで解決済 |
② | サスペンションと インナーフェンダーの干渉 | サスペンション下部とインナーフェンダーの ねじ止めの為の突起が接触する。 | 現行ロットで解決済 |
③ | インナーフェンダーと 後部フェンダーの干渉 | サスペンションが圧縮する際に後部フェン ダーがインナーフェンダーに干渉する。 | インナーフェンダーの カット処置 |
④ | サスペンション可動部 不要なワッシャー | サスペンション可動部で、 ベアリングの動作を阻害する 不要なワッシャーが使用されている。 | 現行ロットで解決済 |
⑤ | サス・ロッドのネジ頭と インナーフェンダーの干渉 | サスロッドの内側に止めているネジの頭が インナーフェンダーに接触し、擦る。 | ネジに極低頭ボルトを使用する。 |
⑥ | サス・ロッドの 干渉 | サス・ロッドの内側がスライダーパンツ の内側に接触し、擦れている。 | サス・ロッドの 擦れた部分をヤスリで削り込む。 |
⑦ | ペダルハンガーによる サス・スライダーの歪曲 | ペダルハンガーの締めすぎにより二本の サス・スライダーの平行が歪められる。 | ネジの対角締直し。 |
⑧ | インナーフェンダーと タイヤの干渉 | タイヤとインナーフェンダーが干渉し、 走行中に擦るような音がする。 | タイヤの装着見直し。 使用タイヤのサイズダウン。 |
これらの症状について、各項目ごとに細かく見ていくことにしましょう。
また、その解決方法も実施していきます。
モーターケーブル干渉
原因
インホイールモーターからは、モーターケーブルがタイヤに対して垂直に突き出していますが、
これを90度折り曲げ、タイヤとほぼ平行になるように設置されるのが本来の設計です。
しかし、この折り曲げがモーター軸の向きによってしっかりと90度折り曲げられてないと、
折り曲げられていない先端が隆起し、下部パッドのカバーの裏面とこすれ合ってしまいます。
解決策
- モーターケーブルを内側に叩き込む、その際にはプラハンマーを使用する。
- スライダーパンツのモーターを挟む溝を深く彫り込む。
- 擦れている下部パッドのカバーを少し彫り込む。
最新のロットではこの干渉問題は解決しているようです。
サスペンションとインナーフェンダーとの干渉
原因
インナーフェンダーの表面には、左右二つに分割されたインナーフェンダーを
ねじ止めによって固定するための突起がいくつかあります。
この突起とダンパーの下部がサスペンションの駆動によって干渉してしまいます。
解決案
- インナーフェンダーのねじ止め用の突起を干渉する部分のみ削り取ってしまう。
最新のロットでは突起はなくなっている為、この干渉問題は解決しているようです。
インナーフェンダーと後部フェンダーとの干渉
原因
サスペンションが圧縮されたときに、後部フェンダーが降下すると、
インナーフェンダーの裾と後部フェンダーがこすれ合ってしまいます。
インナーフェンダーの裾に、擦り傷のようなものが確認できればこすれ合っている証拠です。
解決案
- 後部フェンダーとインナーフェンダーが擦り合わないように、インナーフェンダーの裾をカットする。
この問題は、最新のロットでも解決していません。
こすれ合う感覚が気になってしまう方は、修正に挑戦してみるとよいでしょう。
サスペンション可動部 不要なワッシャー
原因
サスペンション可動部のベアリング軸部に、ベアリングの動作を阻害する
フラットワッシャーやスプリングワッシャーが嵌められていました。
これでは、回転して動作する機構が台無しです。製造過程で、設計の意図が分からない者が
その場しのぎで処置を行ったためであると考えられます。
解決案
ベアリングの動作を阻害するワッシャーなどはすべて外します。
また、ベアリングを正常に動作させるために、必要なシムワッシャーを重ねて調整します。
使用するシムワッシャーの寸法は以下になります。
- 内径:10.5㎜
- 外形:14㎜
- 厚み:0.8㎜
最新のロットでは、このシムワッシャーを使用した方法で修正が行われて出荷されているため、
問題は解決しているようです。
サスペンションロッドのネジ頭とインナーフェンダーとの干渉
原因
サスペンションロッドを固定しているピンとネジ頭が内側の可動部に飛び出している為、
サスペンション機構が圧縮された際に、インナーフェンダーと擦り合ってしまいます。
解決案
内側に飛び出た部分について対処します。
- 内側のピンの頭を短く加工する。
- ピンを表側に使用し、内側は超極低頭ボルトを使用する。
超極低頭ボルト(M8)を使用した方が確実で、手間もかかりません。
ボルト長さは、10㎜~20㎜程度で十分対応できます。
この問題は、最新ロットでも解決していません。
気になった方は修正に挑戦してみてください。
サスペンションロッドの干渉
原因
ベアリング可動部付近のサスペンションロッドが、
サスペンションが稼働するとスライダーパンツにこすれ合ってしまっている場合があります。
サスペンションロッド自体がこすれ合ってしまうような形状になっていることと、
稼働に公差を持たせられなかった設計が原因です。
この問題は、最新のロットでは解決している可能性があります。
分解してみた時に、サスペンションロッドのゴールドの塗装が擦れによって剥げていた場合は、
稼働によってスライダーパンツとこすれ合っている可能性があります。
解決案
サスペンションロッドの擦れた個所を、金ヤスリで削り込み、スライダーパンツに接触しないようにします。
ゴールドの塗装も剥げて落ちてしまいますので、再塗装の工程も考慮しましょう。
サスペンションロッド再塗装
S18のサスペンションロッドのゴールド色に合わせるには、
以下のスプレー塗料(ブロンズ・ゴールド)の合わせ塗りがおススメです。
スプレー塗料|アサヒペン|メッキ調スプレー 銅色 300ml ブロンズ
塗装が完了したらウレタンコーティングを施して、ツヤのある強い塗膜を作りましょう。
ペダルハンガーによるサスペンションスライダーの歪曲
原因
バッテリーを下から支え、ペダルを保持する為のペダルハンガーは、
2本のサスペンションスライダーをねじでクランプするようにして留まっています。
その際、クランプを行う4本のネジが均等に力を加えられていないと、平行に並んでいる
サスペンションスライダーを歪ませてしまいます。
その結果、サスペンションスライダーとスライダーパンツの稼働が
スムースにいかなくなるという恐れがあります。
解決方法
クランプを行う4本のネジを力が均等に入るように、一定の力で対角に絞めていく必要があります。
この問題は、最新のロットでも解決していません。
分解整備の際には気にかけるようにしたほうがよいでしょう。
インナーフェンダーとタイヤの干渉
原因
「ラビングノイズ」と呼ばれていたS18の初期不良ですが、
タイヤのサイズとインナーフェンダーのクリアランス不足が原因でした。
タイヤの側面や上面がインナーフェンダーの内側とこすれ合い、不快な音を出してしまいます。
解決案
ノーマルタイヤを初期ロットで変更している為、現在は問題が解決しています。
ですが、何らかの理由でS18のタイヤを交換する際には、再度この問題が噴出する可能性がありますので、
タイヤのサイズには気を付けるようにしてください。
現状では、ラビングノイズを発生させることのない使用可能なタイヤサイズは以下になります。
- 2.75″-14″ 若しくは 70/90-14″
- 直径:500㎜以下
※太さが3″を超える14”リム径のタイヤは、一見問題ないように思えますが、
ラビングノイズが発生しやすい傾向にあるようです。
総括
いかがでしたでしょうか。細かな修正でも、ライディングの快適性は大きく変わってきます。
S18を万全な状態で乗るために、是非修正を試みてください。
これらの一部修正方法については、以下の動画でも纏めていますのでよろしければそちらもご覧ください。
以上、Alai Smi-yo-Theeでした。
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