今回は、KINGSONG最高峰のモデルである、
KINGSONG KS-16Xについてレビューを行いたいと思います。
KINGSONGは電動一輪車市場において高性能、高品質な車輛を開発するメーカーとして知られています。
以前にレビューした、KINGSONG KS-14Dも、14インチホイールとは思えないほどの
高性能、高品質ホイールであることを紹介しました。
そんなKINGSONGのホイールの中で、16Xは最高峰のバッテリー容量、モーター出力を持った
モンスターマシンとして今なおユーザーから圧倒的な支持を受けています。
手に余るほどのパワーも持った16Xについて、それでは詳細を見ていくことにしましょう。
概要
もともと、大型ハイエンドモデルとしてはKS-18Lが存在していましたが、
このスペックと同等の小型ホイールとして開発されたモデルがKS-16Xであり、
2019年に販売を開始しました。
特徴的な六角形のシェルと、18インチホイール以上のホイールと同等かそれ以上のスペックを持った
KS-16Xは、たちまち電動一輪車市場を席捲することとなりました。
スペック比較(V10F/16X)
16インチホイールとの比較として、INMOTION V10Fとスペックを比較してみましょう。
名称(メーカー) | V10F(inmotion) | KS-16X(kingsong) |
平均価格帯 | \160,000 | \210,000 |
最高速度 | 40km/h | 50km/h |
航続距離 | 90km | 150km |
本体重量 | 20.6kg | 24.4kg |
耐荷重 | 120kg | 150kg |
充電時間 | 6h | 8.4h |
バッテリー容量 | 960Wh | 1554Wh |
駆動電圧 | 84V | 84V |
モーター | 2000W | 2200W |
タイヤサイズ | 16″x2.5″ | 16″x3″ |
車体ステイ機能 | 可 | 可 |
トロリーハンドル | 可(標準品) | 可(標準品) |
バッテリーインジケータ | 上部液晶 | 側面装飾LED |
ヘッド/テールライト | 標準搭載 | 標準搭載 |
ウェイトバランス | トップヘビー | サイドウェイトダブル |
ペダル高さ平均/角度 | 165㎜/7.0° | 175㎜/7.0° |
USB出力ポート | 非搭載 | 搭載 |
Bluetoothスピーカー | 搭載 | 搭載 |
大容量バッテリー、高出力モーターにより、同じ16インチホイールでありながら、
INMOTION V10Fのスペックを大幅に上回っています。
特徴
トロリーハンドル
KINGSONG製品の特長である、斜め掛けのハンドル兼トロリーハンドルです。
トロリーハンドルは引き出し式です。
中央のボタンを押すことで、上に引き出すことができます。
ペダル
ペダルは粗目のサンドペーパー地になっており、グリップ力は高いです。
シェル・カバー
特徴的な六角形のサイドカバーは半透明状の強化プラスチック材で構成されており、
衝撃に対して非常に強固な耐性を持っています。
しかし、コントロールボードをカバーしている上面カバーの材質はそれほど強固でないため、
転倒してしまった際などに打ち所が悪いと、上面カバーが変形してしまうなどの難点もあります。
また、上面カバーにはガスケットなどの防水加工が施されていないため、水しぶきや雨などが
コントロールボードに染み至る可能性がありますので、扱いには十分注意した方がよいでしょう。
タイヤ
16インチホイールの中では太めの3インチ幅のタイヤを標準装備しています。
16”x3″タイヤはとても安定した組み合わせだと感じています。
標準タイヤのスペックを示します。
- H-5167(CHAO-YANG)
- 16×3.0/76-305
ヘッドライト・テールライト
標準装備のヘッドライトは、電源ボタンでロウビーム・ハイビームを選択することができ、
夜間でも安心の明るさで照らすことができます。
テールライトは後方側面に一門づつ装備されており、リーンする方向に合わせて点滅するようになっています。
バッテリーインジケータ
常時点灯している装飾LEDがバッテリーインジケータとして機能します。
充電コネクタ
後方側にLenovo型のコネクタが二門あり、充電器を二つ使用することで、
充電時間を短縮することができます。
USBポート
ヘッドライトの上、正面側にUSB-TYPE Aの出力ポートを二門装備しています。
装飾LED
カバーの下には装飾用LEDがあり、後述の専用アプリで発光の仕方を自由に変えることができます。
パッド
側面パッドはとても薄く、側面カバーに両面テープで貼りついています。
カバーのネジを取り外す際には、端から少しだけはがす必要があります。
マッドガード
後方にはシリコン素材でできたマッドガードを標準装備しています。
外す際には側面のカバーを先に外す必要があります。
専用アプリ
専用アプリと本体をBluetoothによって通信接続することが可能です。
現在の車体の状態をモニターすることができます。
またSettingでは、車体の設定を変更することが可能です。
KS-16Xの本体の主要な設定項目を下記に纏めます。
設定項目 | 選択 | 効果 | 設定例 |
Speed Setting | アラームバイブ アラーム速度設定 ティルトバック速度設定 | アラームの際のバイブレーション設定(ON/OFF) 3段階のアラーム速度を設定(0,1~50km/h) ティルトバック開始の速度を設定 (1~50km/h) | OFF 0,0,45km/h 50km/h |
Light Setting | 発光方法選択 | Magic(A.M. , C.R. , C.F. , C.B.) Spectra(A.M. , B.m. , C.F. , C.B.) Night light(O.n.l. , C.n.l. , A.M.) Night Light flashing (O.f.m. , C.f.m.) color(1~4)に発光色の自由選択が可能。 | Auto Mode Auto Mode Auto Mode Close flashing mode ※color未選択 |
Riding Mode | モード選択 | Experient Mode Riding Mode Learner Mode の3つのモードから選択 | Riding Mode |
Firmware upgrage | 確認 | ファームウェアのアップグレードを確認。 最新版が公開されていた場合には更新が可能。 | ver2.03 |
Lift to stop running switch | フリースピン防止設定 浮遊中設定 | (ON/OFF) Mode(Microbalance,Damping,Unmotivated)選択 | ON Microbalance |
Gyroscope angle adjustment (Before and after) | ペダル前後方向角度設定 | ペダルの前後の傾きを設定(-10°~10°) | -3° ※後方傾斜 |
Gyroscope angle adjustment (left and right) | リーン最大角度設定 | 左右に傾いた際のカットオフ角度を設定(40°~70°) | 60° |
付属品
下記が製品に同梱されています。
- 取扱説明書
- 充電器
ライド・インプレッション
ペダル・応答性
ペダル応答性に関しては、KINGSONG特有の直線的な動き方をするため、多少の違和感を覚えます。
この特有の応答性によって、平坦な道でペダルが前傾したままだったり、
こう配のある道で思った通りのペダル角度にならない場合が多々あります。
さらには、低速での旋回の際にバランスを崩す原因にもなります。
ペダルの応答性は、アプリのライディングモードで変更することができますが、
あくまで応答の速さの変更設定ですので、ペダル応答の特徴的な動き方までを変えることはできません。
モーター回転快適性
チリチリと音を鳴らしますが、乾いた感覚のあるモーター回転で、
軽快で快適な乗り心地を提供してくれます。
スピード
最高速度は50km/hで、それまではティルトバックなどを行いません。
バッテリーの容量も大きいため、常に40km/h以上をキープし続けて巡行できます。
車体の重さ約25kgを全く感じさせない、軽快かつパワフルな加速を楽しむことができます。
ウォブリングについて
減速も際のブレーキングも効きが強く、扱いやすいのですが、車体のバランスによるものか、
高速から急なブレーキングを行うと、ウォブリングが発生しやすいという危険性があります。
感覚としてですが、35km/h以上のスピードでの急なブレーキングは避け、
35km/hまではウォブリングが発生しないように徐々にスピードを落としてから、
35km/h以下で急制動をかけるようにした方がよいでしょう。
また、左右に分割されたシェルのねじ止めが甘くなってくると、
走行中においてもウォブリングが発生することが判明しています。
その際には一度分解を行い、左右の分割を留めているシェルのネジの増し締めを行うようにして下さい。
航続距離
理論値では150kmですが、実効値としては90~110km程度だと思います。
ですが、パワーを十分に使用してもこれだけの航続距離で走ることが可能な上に、
約100kmの距離を一回の充電で乗り切ることもそうそうないので、十分過ぎるといえるでしょう。
トロリーハンドル
ハンドルは大型で、両手でも持ち上げやすい形状をしています。
トロリーハンドルを引き延ばした時の高さは、肘くらいの高さまで引きのばすことができるため、
手を置きやすく、とても運搬しやすい仕様になっています。
車体ステイ
車体を前方に倒すことで、車体ステイが可能です。
車体の横幅によって、横からの衝撃にも多少は耐えられるため、
手から離す際に一度ステイさせるような場合には有効でしょう。
ウェイトバランス
サイドウェイト型はアンクルグリップによって扱いやすく、車体のバランスは良好と感じます。
しかし先に挙げたように、上部が軽いためか、
ブレーキングの際にウォブリングを起こしやすくなっていると感じます。
サイドウェイト型もトップヘビー型も、それぞれ長所、短所がある為、
一様にどちらが優れているとは言い難いと思います。
(個人的には、サイドウェイト型のほうが好みです。)
その他
シリコン製のマッドガードは柔軟性があるようにみえて、実は脆いのが難点です。
このように、根元から折れてしまうことがあります。
シリコン製ではなく、軟質プラスチックのような材質でもよかったかもしれません。
総括
いかがだったでしょうか。圧倒的なパワー、スピードと航続距離、そして使い勝手により
数多くの電動一輪車のなかでも私のお気に入りの一台です。
最後に、良い点、良くない点を纏めておきたいと思います。
良い点
- パワー、スピード、航続距離の点で不満がない。
- トロリーハンドルの使い勝手が良い。
良くない点
- KINGSONG特有のペダルの応答性に違和感を感じる、特に16Xはその傾向が強い。
- 車体幅が他の車輛とくらべ若干太い。
- 高速時からのブレーキングの際にウォブリングが発生しやすい。
もしKINGSONG製品を購入したい場合には、正式のディーラーから入手した方がよいでしょう。
入手したKINGSONG製品が中国国内用製品(ID末端がP)だった場合、
中国外で使用すると、遠隔操作によって使用を停止させられる(ロックされる)ためです。
もし16Xの購入を検討されている場合は、KINGSONGを扱っている日本のディーラーに直接相談するか、
日本へ配送が可能な海外のディーラーに連絡を取ることをお勧めします。
日本国内で入手がしやすいKINGSONG製品については、
次回の記事で、サスペンション搭載型のKS-S18を紹介したいと思います。
以上、Alai Smi-yo-Theeでした。
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